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行政サービスの安定的かつ継続的な提供について

2019/02/24 7:13 に 早尾恭一 が投稿   [ 2019/03/07 10:06 に更新しました ]

小泉内閣時代、骨太の改革路線の一環として、自治体の財政難の打開と経営効率化を図るため「民でできることは民で」という公の施設への民間活力の導入(アウトソーシング)が始まりました。民間開放によるデメリットを極力生じさせないよう、円滑な民間開放を運用するための指針として、本区では『民営化方針~公共サービスの民間開放の留意点~』が作成されています。(図1)

図1にある見直しのおもなポイントのうち、特に「選定基準の公表」という点では、例えばいきいきプラザ一番町の指定管理者の指定においては、公募として発表されたものが知らぬ間に非公募に変わっていたり、議会への報告時点より前に指定期間が原則の10年間から5年間に変わっていたりといった、競争性・透明性という点では疑問符を呈せざるを得ないことが実際に起こっていました。また公共施設の建築工事にかかわる指定管理者の指定では、いわゆるジョイントベンチャー(JV)のような複数の企業が共同企業体を形成するものもあります。それらの競争性・透明性・公平性の確保については、これまでの経験を今一度見つめ直し、整理していく必要があるのではないでしょうか。

一方で、社会福祉など、指定管理者が頻繁に変わることが望ましくない領域もあります。地域事情や住民との信頼関係、行政との情報管理の遵守状況などを総合的に鑑みて、公募をしない場合には、提供されるサービスが低下しないような管理方法やコスト削減意識の醸成など、実際には公募による競争はなくても、競争した場合並みの質の維持・向上が求められてこそ、区民にとって民間開放したメリットが生じるともいえます。

他方、民に対し官については、これまでの定例会や予算・決算委員会などの機会を通し質問を重ねてきた結果、本区の職員に求められる能力は、大きく分けて2つに集約されると整理されてきました。一つは「区民に分かりやすく説明する能力」、もう一つは「委託先の専門家や技術者に対しGOSTOPを判断し伝えられる能力」です。(図2)

忘れてならないのは、このように区職員の人づくりに対して丁寧に取り組んでいくことは、ひいては行政サービスを安定的・継続的に提供することにつながり、区民に安全で安心のある生活をもたらす、という到達目標です。

職員に求められる能力を整理していく中で、安定的・継続的な行政サービスの提供を目指していくにあたっては、職員の人数や行政の仕事量といった量的な課題と、求められる能力を備えた人づくりにあたる、教育や組織の体制といった質的な課題があぶり出されてきました。

まず量的な課題においては、行政の仕事量全体を把握したのちに、民間開放を考えるに際して、まずは区として確保すべきサービス水準をどこに置くか、という点を明確にすることが必要です。(図3)

図3にあるように、業務量もしくはサービス需要量は月日とともに常に変化していきます。例えば保育や介護の分野では、子供の数や高齢者の数に伴ってそのニーズの量が変動するため、民間開放を活用せざるを得ない状況です。限られた人材でどの時代においても乗り切っていかなくてはいけない官側としては、今ある人材と能力で安定して供給できるサービスの量、継続的・安定的に官で担える水準をまずは明確に定める必要があります。

つまり官で担うレベルをどこに持っていくかで、アウトソーシングの必要量が決まってきます。そしてその適切なレベルを考える際に職員数の問題が連動してくるのです。(図4

本区の職員定数は、人口減少を想定しキャップがかけられています。つまり職員数の上限が決まっている中で、予想外に人口が増え、業務量は増えているという事態が続いています。したがって量的な課題を考えるにあたっては、区として確保すべきサービス水準をまず明確にしつつ、民間活用する領域の整理とともに適切な職員数とは何ぞやという問題についての検討が必要です。

一方、質的な課題については、職員に求められる能力を踏まえ、特に民間開放されやすい社会福祉やITなどの専門的な領域では、区の職員が民間の専門家達の仕事をモニタリングしたり管理したりする側になるため、それらを正しく評価したり判断したりする専門的な知識や技術、あるいはノウハウをもって、民間に対する適切なGOSTOPをかけていかなくてはなりません。したがってそのような能力を醸成するための教育体系や教育体制の整備が急務となっています。

そこで民間開放を有効に活用していくために必要な見直しについて、また区職員に求められる能力とそのための支援・組織体制について一般質問を行いました

<平成28年 第3回定例会(9月30日)>

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