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生徒の学力と内申の地域間格差について

2016/09/09 2:08 に 早尾恭一 が投稿   [ 2017/01/01 4:14 に更新しました ]
 昨年3月、本区の中等教育の在り方検討会から報告書が提出されました。これは、平成14年度に策定された「千代田区の中等教育将来像」に掲げた施策の成果と課題の検証を踏まえ、今後の千代田区の中等教育の在り方についての方向性がまとめられたものです。

 報告書では、麹町中学校を「国際教育推進校」、神田一橋中学校を「情報教育推進校」として特色ある学校づくりを進めるとともに、「学校選択性の導入」によってそれら特色のさらなる推進に取り組み、学校が活性化したとされています。しかしながら区立小学校第6学年児童を対象としたアンケート(平成2510月実施・総数391名)では、「どのような学校に通いたいと思いますか」という質問に対する回答の選択肢14項目のうち、一番多かった回答は「部活動(文化部・運動部)や行事がさかんな学校」となっており、公立希望・九段希望ともにそれぞれ40%以上の児童がそのように回答していました。部活動の充実や活性化を図ることは、区立小学校から区立中学校への進学率向上への大きな鍵となる部分ともいえます。(公立希望(九段以外)の児童では「日本や外国のことを教えてくれる学校」は8位、「コンピューターやインターネットについて教えてくれる学校」は9位でいずれも10%台)

そのほか報告書では、人格の形成において大切な小学校・中学校の9年間の教育を見通した連携が重要であると述べられています。もともと敷地が離れているため物理環境的に難しい区立の小・中学校間の交流ですが、例えば小中連合陸上競技大会は児童と生徒が一堂に会し、連携・交流できる貴重な機会としての役割を果たしてきました。ここ数年、国立競技場の改修工事を機に中学校においては大会そのものの開催もなくなっていますが、児童や生徒同士が区立学校間の横のつながりを認識するとともに、特に児童にとっては中学への憧憬をはぐくみ、その実際に触れることができる貴重な機会としての役割があったのではないかと感じています。

 一方、中等教育における学習面での評価については、平成14年より全国的に「集団に準拠した評価」つまり従来の『相対評価』から、「目標に準拠した評価」、いわゆる『絶対評価』へと変更されています。

 東京都教育委員会では統一した学力テストを5教科でおこない、都下全体の学力、得点獲得力をみていますが、中学校を対象とした平成27年度の同テストの結果では、正答率の本区の平均は数学71.5%(全体平均56.2%)、国語66.4%(同54.1%)、英語75.2%(同59.0%)と、いずれも都下で一番高く、しかも全体平均をかなりの割合で上回る結果となっています。そうなると本区における絶対評価では、高く評価される生徒が多いのか?という発想がまず浮かぶのですが、実際にはそうとも言えない現状となっています。東京都教育委員会が各公立中学の成績分布状況、つまり評定の分布状況を公開し、評価の信頼性や客観性が保たれるよう取り組んでいますが、東京都全体の平均的な評定分布と本区の各中学校の評定分布は、グラフ化すると同じような曲線を描いています。つまり「3」が一番多く、その両脇へ行くほど減っていく、山なりのグラフです。評定は、学力だけを評価するものではないため、「関心・意欲・態度」などを総合的に評価するとそのような結果になるということも考えられますが、客観的な指標としての学力調査の結果、水準の高い集団の中における絶対評価にしては、その分布状況が都の平均に近いという点に、妙な感じがしなくもありません。

 特に昨今の高校入試の状況は、少子化の進展もあり複雑になってきています。都政改革で都立高校の復権が謳われ、経済情勢もあいまって都立志向に拍車がかかっています。ご存知の通り、都立入試では内申点が非常に重要なポイントとなります。また、できるだけ希望の都立高校にチャレンジするために、私立高校の併願優遇制度を利用する場合などは、内申点が基準を満たすかどうかが鍵となります。それくらい、高校入試には内申点が直結しており、そしてそれらが進路選択に及ぼす影響は大きなものとなっています。 

私自身も本区の区立中学の出身ですので、是非とも在来型中学校には頑張ってもらいたい、応援をしたい、というのが本音です。しかし巷で「千代田区は内申が渋い」という声を耳にするたび、内申点が取りづらいことが在来型中学校への進学希望が増えないことにつながらないか危惧されるところでもあります。

  そこで今回の質問では、区立中学校への進学の推進にあたっての今後の中等教育の方向性についての確認とともに、小中陸上大会の開催の見通しについて、また生徒の学力の評価に関して区としては現状どのように把握しどう捉えているか、高校の入学者選抜へ与えている影響も踏まえた視点での答弁を求め、質問をしました。

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