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公共工事入札の 現状とその方向性

2016/09/05 1:27 に 早尾恭一 が投稿   [ 2017/01/01 4:15 に更新しました ]
 バブル崩壊後の構造改革以降、公共事業の削減をはじめとしたコスト縮減策が推し進められ、地域の中小建設業者はその煽りを受け経営困難を余儀なくされてきました。さらにはコスト縮減の影響から低賃金化も進み、建設技能労働者においては若年層の減少による人的資源の確保・育成の点でも深刻な問題が生じています。

建設業界がそのような長年にわたる疲弊と課題を抱える状況のもと、東日本大震災以降、被災地の復興工事以外にも全国各地での防災対策、学校等の老朽化対策、インフラ整備など公共工事の需要が急増しています。しかし長年の疲弊が残る状況下では、それらの工事を担うだけの経営的・人材的な体力が不足しており、需要があっても結果的に入札をする業者がいない「入札不調」の発生が全国的に問題となっています。

本区においても入札不調は発生しており、そのような課題を改善する対策の一つとして201410月から『千代田区公契約条例』を施行、公共工事や公共サービスの下請負者にも適正な労務対価としての賃金が行き渡るよう、労働環境を確保することが定められました。公共工事の発注は、規模の大小を問わず、区民のニーズや暮らしの安全に緊急性を要するものからおこなうことが大切です。したがってその判断基準を明確にしていくとともに、公契約条例の着実な運用が図られているか、今後の確認が重要となります。

また、平成27年度からの『ちよだみらいプロジェクト(千代田区第3次基本計画2015)』における施設整備計画では、既存施設の機能更新には今後多額の費用がかかることが予測されています。老朽化に伴う改修・改築工事と、行政ニーズに伴う新たな公共工事とを並行して実施していくためには、綿密な見通しが必要です。

入札不調の増加理由の一つに専門的な技術者の不足が叫ばれていますが、公共工事の設計から施工過程まで、公共建造物の品質や安全性の確保は最優先事項です。その大前提のもと、費用との兼ね合いの中で不要不急の案件を見直し、区民の皆さんの安全な暮らしや公共の利益のために必要性が高いもの、急を要するものから着手するよう計画を再度整理する必要性について質問しました。

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